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kizirusikiu

<ねぐせ。>が気になった話

 甲子園なんか全然興味無いので、テーマソングが炎上とか、メインでも何でもない唯の曲にまで血の気多く怒り散らしてる甲子園ファンは流石だなあと思いながら、暇だし首を突っ込んでみた。ふむ、どちらかというとチャリティーみたいな生ぬるい雰囲気のバンドのふわっとした曲だ。

 炎上した理由は簡単に分かり、燃えるのは仕方なしと思った。敬意が感じられないので。

 好かんな。


 しかし楽曲全体を聴いてはいないだろう。惹かれないティザー自体どうかとも思うが、私はこの<ねぐせ。>という方々についてもまったく知らないし、テーマソングに選ばれるべくして選ばれた何らかのゆかりが隠れているかも。探るか。


    曲名一覧


日常革命 グッドな音楽を 愛してみてよ減るもんじゃないし 独占愛 花束が似合う君へ めちゃくちゃ好きな人を愛すように世界を愛して! スーパー愛したい SUPER AISHITAI 恋と怪獣 タイムマシンに乗って スウェット あの娘の胸に飛びこんで! 彩り 猫背と癖 ベイベイベイビー 最愛 サンデーモーニング 愛煙家 片手にビール 恋夜 死なない為の音楽よ 秋の終 KATATENI BEER HANATABAGANIAUKIMIE SHINANAITAMENO ONGAKUYO AIENKA Aishitemiteyo Herumonjanaishi

(Google検索するとリストで出るローマ字タイトルがおもろかったのでそのまま列挙。)


 恋も恋、色恋情事寄りである事はタイトルからも分かる。要は主要人物は基本的に2人程度と言えるが、時々規模の大きいタイトルが挟まる事は興味深い。


 曲風は平成J-POPを平たく聴いたっぽい感じにTikTokウケ良さそうなキャッチーなアレンジ少々、歌い方が若者ウケ良さそうなバンド音楽。リズムと歌詞の文字数を少しズラすとエモいって解釈はバンド性。演奏に酔ってるので自信は出ていてよろしい。男性4人。


    歌詞を見ていく


 歌詞を同時に参照して読まれたい。


日常革命 これはYouTube的に人気曲らしい。平易な文章だが、時々言葉がたどたどしい。曲中でどこまで無理な日本語を通すかもセンスなので分からないが、何より肝心なタイトルの革命部分が不明。男性だけのバンドグループだが、女性視点の楽曲となる(女性視点の曲はこれだけではない)。

 これは金の掛からない女系の妄想モノだが別に金の掛からない恋もよろしいと思うので一旦聴き流して他を見てみよう。


グッドな音楽を 繊細さん自己啓発に走る。世界規模な課題を視野狭窄な世界観で見ているので自己投影が過剰。また繊細さん特有の自己正当化が全体的に見られる。大まかには、繊細だから逃避するけどやまない雨はない、落ち込んでいても真っ当に生きられる強さは人にない、自分が苦しむのは自分が良い人だから(意訳)との事。

 ところで、「ボーイズandガールズ」以降の一連の歌詞の意味が全く分からない。「自分の夢でかいイメージ描いてるけど SOS辛い日々でも 週末のため頑張っちゃって」。目的が2つ書かれており、けど,でもといった接続詞がこの文を難解たらしめている。接続詞が機能していると踏んで解釈をすると「皆さんは一見ご立派で大きな夢を抱いている様だけど、辛い日々(学生か社会人の日々)でも頑張るのは単に週末のためではないか」となってもおかしくはないが、恐らく言いたいのは「大きい夢を持って日々を過ごした結果週末にはもうヘトヘトになっちゃってパンク気味でしょ」的な事か。

 落ち込んでいる時にホットでグッドな音楽以外向き合えない繊細さんには優しい曲である。電車の人々に軟弱な自己を投影している正当化の鬼の様な歌詞には内省部分は全く無い。自他境界の曖昧さを平易な文でカバーした結果精神的弱者ウケは保てそうだが、要は結構パーソナリティが危うい。


愛してみてよ減るもんじゃないし MVが恥ずかしい。自己愛が凄い。内容は簡潔にはセフレ女が男にガチ恋。「あいしてるの声帯を聴いて」が分からなかったが、3曲目にして総合的に、言語レベルは低く俗的で雑なので細かい言葉を気にするべきではないと察知した。

 酒と体と音楽。まあバンドらしくてよろしいが、曲調が軽快なのは複雑さを軽く歌ったというよりセフレに対する気持ちが軽いからなのではと思わせる都合の良さ。しかし都合の良い態度を自主的に取っておいて被害者気分になる女性は実在する。都合の良い女ウケがいいのはコメ欄から伝わります。


独占愛 またも女性視点の楽曲。自分だけ傷付いたと思っているが不公平感の根拠は無い繊細さんだ。言葉は気にするべきでないと言っておいて何だが気になる。「あれもこれも全て知りたいけどそれよりあなたの携帯が見たかった」みたいな(怖い)歌詞をよく見ると「あれもこれも」の部分をちゃんと入れると「崩れるメイク崩れる自律神経 崩れる生活バランス 全て知りたいけどそれよりあなたの携帯が見たかった」が原文。女性本人視点なので列挙した部分は「全て」以降とは関係ない詞という、なかなか珍しい感覚。では「それ」ってどれの事よといなるので矢張り作詞で考えていない様だ。

 他。駆け引きが謎。あと、明らかに女性側の一方的な愛で公平性は無いと歌っているのに、女性側が今後を想像出来ないから無理かな、みたいな立場逆転の終わり方をしているのが不自然だと感じ歌詞を見返す。冒頭に「売れてほしいと思うけど」とある。成程相手は売れるとか売れないとかが言えるレベルには成長したバンドマンである。要は彼等か作詞者を指す(以降彼等で統一)。指さなかったら凄く設定が狭いのでおもろい。恐らくご本人達の繊細さんな自尊心的にも満足なオチにしたのだろうと推察する。そういえば『日常革命』も相手バンドマンだったな。またバンドマンに一方的に恋して苦しんだ女性の歌か。

 服はお互いちゃんと自分の物を持って帰りなさい。


花束が似合う君へ 卒業ソングだと思って聴いても甲子園の外野よりはマシ。今度は男性視点だが、今まで通り男性役は歌を作っているらしい事が歌詞に入る。バンドマン(アーティスト)である事に強いこだわりが無いとこんなにアーティストの自分役を毎度出さないだろうが、自己愛性の問題を抱えているのか。

 成程今回は僕に夢があって君はワンチャン自分に付いて来てくれるかも知れない存在。一見キラキラした夢と未来のある卒業ソングだが根幹はクズ男流美談。「初めてあったあの日から 君には僕が似合うって分かってたよ」という詞が「花束が似合う」と対になっているがきもい。他責思考で内省と責任意識の無い歌詞。


めちゃくちゃ好きな人を愛すように 世界を愛して タイアップ:テレ東ドラマ『これから配信はじめます』、POCOCHA CMソング。だから珍しく早々に出る配信者という上位存在()が明確に彼等ではない。しかし「だから僕が言わせて」は彼等の言葉だな。本文の僕は凡そ彼等だ。...ん?意味が分からない。歌詞の意味が分からない。どの立場からどこに向けて何を言ってるのか分からない。

 しかし全文を要約すると、クソみたいな部分があってもそれが人間なんだから愛せよ、アンチ許さん。こうなる。

 めちゃくちゃ好きな人への愛の形を、クズな部分も許し安心させる事としているのは、愛される側に都合が良く、今までの歌の恋愛観の通りだ。自分にとって都合の悪い事は世界的に許されざる事。内省は無く、自他境界が曖昧な繊細さんである。他者の視点には立てない。

 しかしタイトル通り詞では世界世界と言っている。認識の傾向から想像可能な通り、世界を僕に置き換えても成立するから、『グッドな音楽を』の様に急にでかい規模の事を言いたいターンかと思ったが、今回もとても狭かった。

 狡猾なのは、「〜な人が〜出来ない世界は嘘みたいありえない」と、自己の欲求をそっと他者への気配り調に変換しているところだ。主体性を持っていただきたい。「届けるべき人が届けられない」がまじで分かりません。限界。


スーパー愛したい 「芸術的なことで満たされた」で即彼等登場。MVに芸術的な事ばかりしている様子は無くエンジョイ大学生みたいな映像が流れる謎。芸術しかしてこなかったから来世は日常で埋めたい様な話でスタートしたが、隣に君がいないと眠れない程君に依存し続ける日々っぽいので十分来世の目標の方は達成。「僕の敵はずっと君の過去 だけどそうそう思い出したりはしないけど」(他者を思いやる心が初めて登場したと思ったらそうでもなかった)〜♪。それ以外は欲求。以上。


恋と怪獣 無理でした。恋愛体質なのは君の方という解釈。鏡を見て。「彼氏になるよりも先に君を支えたい!」デートして噛み跡付けて明日もまた会う予定を立てる仲になる前に付き合う世界線に彼等は居ないがバンドマンってそんなもんか。貴方に胸で泣かれると深く傷付くけどいいよ(状況から意訳)ってなるの、相手の涙に一切の寄り添いが無いの強過ぎてこの曲の中でもトップオブ無理。


...言葉が幼稚でレパートリーに欠けるので全曲レビューは諦める。


・あの娘の胸に飛びこんで 一番まともに聴けると思うけど、僕の気持ちの歌なのに皆で盛り上がっててポリシー無さそうで草(ライブ映像視聴)。しかしファンも同類の可能性が高いので、自分一人の内心ではなく一般的な民意らしいと彼等が感じたい為にそういった演出を選んだのだろう。


ベイベイベイビー! 内省から始まったから意外に感じかけたが酔いっぷりが凄い。「誰かがくれた優しさを踏み躙る自分が大嫌い」→生活が難しい(他責)→みんな辛いとか言う奴とは分かり合えない(解釈に不安,他責)→心に余裕を持っている人がどれだけ居るか知りたくない(後述)→行動原理を他人に任せる他責ポエム。他責の強い人間程怒られると「出来ない自分が悔しい」とか言いがち。悔しんでいる自分も素敵に飾りたいのだろう。

 さて、ポエム部で「自分も愛せない人が人を愛せるかな」と言ったり『グッドな音楽を』で、落ち込んでいても真っ当に生きられる強さは人にないという話をしている彼等は、優しい人は心に余裕があると考えている事が分かるだろう。彼等の一貫したロジックと言っていい。歌詞から、「そりゃみんな辛いよ」と言われる事への反抗心が見える。これは、みんな辛ければ優しい人は居ない筈だが、優しい人に出会うので、それを数えてみると想像以上に多くの人が実際には余裕綽々で生きているのが分かって仕舞い劣等感か何かを抱くという事だろう。残念ながら余裕が無くても人に分け与える人は少なくもないし、大抵、余裕は無いと思いながらも常識レベルには優しい人が多いと思うが。

 ラストの他責ポエムをMVで説教臭い笑顔の圧で演出していた点がとてもキツい。お前らもそう思ってみろよ的なメッセージなのだ。ははん、ずっと僕と君の小さな世界ばかりだなと思っていたが、同時に世界を歌うビッグな志も常に胸に秘めてはいるのだな。他者も彼等と同じだと思っているものだから。


愛煙家 女性視点。彼等の方が愛煙家側なんだろうが煙草への解像度が低いのか煙をステータス視しているだけである感じ。まあ結果として煙草をそんなに理解しない女性側の言葉はそこそこそれっぽい。テーマやスタンスは今までと同じ。


片手にビール 「3度の飯よりも君 36.5℃の平熱も365日愛せる人僕以外にいないと思うよ」


    通して


 他者への依存性が強く、自己決定的なのは依存先を見付ける時や快楽に向う場合に限る。主体性に欠け他責思考が強い為、世界という公共性の高い漠然とした困難を挙げる事が多く、具体的な問題が散見されても直視されず、大抵解決方法は幼稚で、スルー、愛、歌。或いは、スルーしてもらう、愛(セックスや身の回りの世話、調子取りと暇潰し)してもらう、アーティストとして評価してもらう。

 生活上の苦手の列挙歌詞、衝動性は高く、快楽に執着しており、苦手意識を持った事柄に対する評価が極端で、複雑な手順を好まず、別の事に意識が行き易い辺り等ADHD的(生育環境によるものの可能性はあるので断言しない)で、また、自己愛性と依存性の異常さを感じる。自他境界は極めて曖昧であり、これが内省を難しくして、他責思考を強くさせている。言い訳が多い。自分の感性を他者にも投影し、理解不能な存在(優しい人)を理解しようと試みた結果、優しい人は余裕のある人(自分には余裕がないから優しく出来ない)という歪んだ解釈に至っている。自他境界の曖昧さは他者と環境に対する解像度の低さであるから、他人の感情には鈍感であり、利己的な妄想を女性に投影した歌も、彼等視点の曲と言っている事は概ね一緒で、端的には都合のいい相手が欲しいか、都合がいいから好きか、都合が悪いからつらい話だ。それに加えて時々都合よくなりたいともあるが、これも依存性のあらわれであるから根幹は繋がる。

 そういった根幹以外の部分は即矛盾しても意味不明でもあまり気にならないらしい、とても雰囲気重視の作詞だが、自分の行動原理の分析をしないのだから、問題点には気付かないのではないだろうか。

 それにしても、バンドマン(アーティスト?)である自身をこれでもかと登場させたり、そうでなければ歌の中で度々態々歌うと言ったり、狭い世界で酔った芸風は面白いのでこのまま走り続けてほしい。キラキラした道徳的な曲しかないよりはずっとよろしい!


    甲子園


 バンドマンとしては、彼等は現実逃避の癖があり、主体性が無い為依存傾向が強い、思慮に欠くクズとしてのキャラが一貫していて、それが社会的にどう評価されるかは置いておいて、平易でエモっぽい(?)歌詞もあわせて精神的弱者をファンにし易そうで、よかろうと思う。何ならばバンドマンらしいではないか。

 しかしどう考えても、甲子園とはキャラクターの相性が悪い。酔った露悪趣味も本心からの他責も極めて不適当で、世界を歌ったとおぼしき歌の実態は自己正当化の言い訳であるから、ワールドワイドな熱心さも明らかに無い。「フレンジーよりもフレンドリー」。熱狂よりも協調が良いとの事だ。これまでのどの曲をとっても、本当に適正が見出だせない。何をどう考えたらこのバンドに主題歌を頼む事になるのか。

 これは人選が悪い!!


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