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読み物
無くなったら
今遊んでるゲームとか、 知り合いの多いSNSとか、 娯楽、テレビのくだらない話、 まちなかの無意味な言葉とか、 よく行く喫茶店や、スーパーなんかが 無くなったら。 もしくはスーパーから 色々なシャンプーが、化粧品が、 期間限定の柔軟剤が、 色々なペンが、ノートが、 旬の美しい野菜が、 チョットした愛らしい便利グッズが、 このスマホから 指先ひとつの魔法が、 いつもの便利が、 繋がりが、 無駄が、無駄という無駄が、 ゆとりが、 楽が、 私のまちから 大事な道が、思い出深い道が、 花壇が、木々が、 誰かが守っていた清潔さが、 どうでもいいオブジェが、 伝統的な建築と、 伝統的な物と、 それを愛する余裕が 無くなったら。 医療が無くなったら。 私の妹は間もなく死ぬ。 間もなく死ぬ人から追って無くなる。 私もそのあとに死ぬ。 私も無くなる。 私に余裕が無くなったら。 ペットはきっと死んで、 それも凍えたり、飢えて細って死んで、 腐ってしまって、 臭くて、 私は腹を立てて誰かを傷付け、 その頃には私を助ける人は居ないと思う。 アイデンティティの悩みが、 個
裁判裁判
裁判所、罪人を作る工場。検品。サクサクと手元の製品達を裁いていく。良品不良品無印良品。 ずっと前の話をずっとしている。私はずっと前の話をずっとしている。書いて、書いては悪夢がずっとずっと、私を睨んでいてアア、多分私が罪人なのだと納得しては、釣り針に水面を見させられる。 私は私が罪人なら罪人でよいのだ。公正に、正しく正しく正しく、全てを、あらゆる証拠を、限界まで総括した正しいジャッジメント、正しい法律かなんかの神様が審判をしてそれで私が死罪になるならば、それはそれでよいのだ。 あいつを滅茶苦茶にしてやりたい。 法律の神様でない私には法律が分からないから、強いて薬機法の幾らかとお倫理様が何と無く見える気がしているだけの私があいつを裁きたいなんて、なんだかさっぱりヴィジョンも湧かないが、あいつは兎にも角にも悪いのだと、それだけはそればかりはクソ、分かるんだ。だからあいつが生きていたら、誰かが苦しみ続ける。 怒りなのだろうか、なんというか、落ちそうなロンドン橋を落ちそうだと思っている気持ちだ。私の手に負えないのに、危険が見えていて、My fai
睡眠薬
YouTubeが軽快なディスを流す無駄に大きなテレビの真横で、視野の範囲外から次第にテロップに無関心になって目を閉じたのは睡眠薬を飲んでから4h後だが、そのほんのすこうし前に、私は名前も知らない存在を殺さなきゃならないと思って腕を殴り付けて、その後服が真っ赤になる迄腕を切り付けていたから、頭の悪い衝動を寝かし付けられずにぎょっと目を開き直して外に飛び出した。 文脈の流れが道であり、恣意が満ち満ちて野山すらも痛々しい程にニンゲンを抱えていたが、街灯一本のカーブとカエルノイズの混雑は、その一本の街灯の見えない向こうに走り出すのに十分な理由に思えて、私はおおいに転んだ。 光が無いと道路もベッドみたいなものだから私はごろんとしたままで、起きる気力は無いが頭の足だけが勝手に走っている。服が血でじっとりしている。愚かだと思って、姿勢を大して変えない範囲で道路に頭を打ち付けてまた付けて付けて何なんだ。血がうざい。 お前はそろそろ死ぬのだと私みたいな直感が私に怒鳴っていて、腹が立つが早くしないと私は死ぬのだからその前に仕事を片付けて、殴り倒した妹に手紙を書
ビーカー
真っ黒い海があった。 真っ黒い海の中に息も無く静かに溺れている私は、上と思しき方を微睡む様にぼうっと眺めていた。 ゆったりと沈んでいく感覚があり、時折ふわりとした上向きの微かな流れで腕を揺らしながらも、矢張り恐らく上と思しき方を見詰める形で腹を上にして落ちていく、その大きな流れは変わらない。 或いは、変わっていたとしても分からないのだ。 全身が同じ何かに浸されているのは感じられても、それが果たして水なのか、分からない。呼吸の仕方も忘れた私の口内に、その液体だか何かが満ちているかも分からない。 白いキノコがふよふよと上昇していくのを見る。 ビー玉の様なまるっこい形をした白いキノコは、この真っ黒い海の中でどうしてだか綺麗に白と分かるので、これは彼自身が発光しているのだろう。私は私の姿を確認出来ない。私は発光していないのだろう。この黒い海の中では、私よりも白いキノコの方が、己を知っている様だった。 上昇する白いキノコは次第に数を増し、しかし私の身体を照らして私を知らしめるでもなく、唯己自身のみを光らせ、見せてくる。海を幾らか明るくする事も
2022/07/07
おぎゃあ。 これより先、生存活動は有料コンテンツになっております。 お支払いの無い場合は直ちに役所の強面にいさんが私を、私を、私をぶち殺しに行きますので、滞り無くたんまりお支払いください。 生きてはいけないので、生存の為に土地に住まうと住民税、食べると食費、服を買うのにお金がかかって、病気をしたら治療費、入院でベッド代「3000円/日」、高額医療費「100万円」、藪医者の診断書「5000円/枚」、酷いと病名を書くだけで「8000円」、医者ぼろ儲け。薬、安くて「2000円」。苦労して働いたら所得税、これを病院代とも言う。 有料コンテンツ、或いは罰金。 労働は罪だからお金がかかる。生存と労働の罰金を払う為のお金を借りる所、職場。罰金を稼ぐ為にする事、労働、罪。罪を重ねる。 生存は罪で、誰も望んでいないから、謝り続けないといけない。 聖書の収穫量が多い地域では、現地の住人達が人間(有害コンテンツ)を殴るのに聖書を使います。聖書と書いて鈍器と読む。 石を投げて良いのは罪の無い人間だけ、だけれど、 「罪のある人間は聖書で人を殴ってはいけない」 と誰が教えた
大道芸人
明るい時間特有の騒音が渦を巻き此方へ伝わる。密集した壁はモダーンな薄灰の影にて、無機質の密林を創る様である。 少し許りの休息欲しさに、私は広場の椅子に腰かけて、アフターヌーンの熱い珈琲をチミチミと啜り乍ら直ぐ傍の大道芸に目を遣って居た。 黒と云うのは然程には恐ろしくなく、果して、白というものの方が余ツ程不気味にも思得ると、大道芸人の異様に白い服を目で撫添り考える。その異様な彼が異様な長脚をコツンとかカロンとか鳴らす度に、カップの中の珈琲はジンワリと減っていく。 大道芸人は、時偶に来る歩行者等御構い無しに、グルリ、グルリ、グルリと広けた場所に渦を描く。アア、大道芸人に掻き混ぜられ、騒音も、グルリ、グルリと渦を巻くのである。 渦の中心に騒音が吸い込まれ、次には満足顔の大道芸人も見る見る内に吸い込まれ行く。静かな広場には、騒音の痕跡も無い。 珈琲を空にした私は、立ち眩みの歪んだ広場を歩き始めた。
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